【決定版】内臓脂肪を落とす医師が選ぶ食事3原則|糖尿病専門医がCT画像で暴くメタボ攻略法

小林 正敬 医師

本記事は、糖尿病・代謝の専門医・小林 正敬(医師)が監修・執筆しています。

小林 正敬 医師(まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長) 日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本糖尿病協会 糖尿病認定医/日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本抗加齢医学会 抗加齢専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター 医籍登録番号:第486214号 メディカルノート プロフィール医師紹介ページ

「お腹周りだけ、どうしても落ちないんです」——

50代を境に、外来でこの言葉を聞く機会がぐっと増えます。体重は学生時代と大きく変わらないのに、ベルトの位置が上がってきた。健診でメタボリックシンドロームと言われた。腹部CTを撮ったら、内臓のまわりに白く脂肪が浮かんで見えた——。

内臓脂肪は、体重計の数字以上に生活習慣病のリスクを高めることが、これまでの大規模研究で繰り返し示されてきました。けれども、悲観する必要はありません。内臓脂肪は皮下脂肪より、食事の工夫で落ちやすい——これは私が日々の診療で実感している事実でもあります。

今日は、外来で患者さんに実際にお伝えしている「内臓脂肪を落とすための食事3原則」を、ガイドラインに基づいてお話しします。

目次

内臓脂肪と皮下脂肪、何が違うのか

おなかの脂肪は、大きく2種類に分かれます。皮下脂肪は皮膚のすぐ下にある脂肪、内臓脂肪は内臓のまわりに溜まる脂肪です。

厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」およびDesprés JP 2012(PMID: 22965769, Circulation)によれば、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて代謝活性が高く、糖や脂質の代謝に直接影響を及ぼします。具体的には、内臓脂肪が多いとインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖・血圧・中性脂肪のすべてが上がりやすくなる——これが「メタボリックシンドローム」の正体です。Neeland IJ 2019(PMID: 31345776, Lancet Diabetes Endocrinol)でも、内臓脂肪と心血管疾患リスクの強い関連が総説されています。

日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』では、腹囲が男性85cm・女性90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満の可能性が高いとされています。これは見た目より、CT検査での内臓脂肪面積(100㎠以上で内臓脂肪型)と相関する基準です。

私の外来でも、CT検査でおよそ200㎠の内臓脂肪が見つかった60代男性が、半年後の再検査で120㎠まで減らした例があります。本人が一番驚いていました——「体重は5kgしか変わっていないのに」と。

実は、内臓脂肪を狙って減らすには、体重を大きく落とす必要はないのです。鍵は食事の組み立てにあります。

食事の3原則——脂質・たんぱく質・タイミング

内臓脂肪を効率的に落とすために、私は外来で3つの原則をお伝えしています。

原則1:脂質の「質」を入れ替える

「脂っこいものを減らせばいい」とよく言われますが、本当に大切なのは脂質の総量より、その質です。

日本人の平均的な食事では、肉類・乳製品・揚げ物に多く含まれる飽和脂肪酸が過剰になりがちです。American Heart Association の Science Advisory(2020)でも、飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸(特に魚油・オリーブ油・ナッツ類)に置き換えることが、内臓脂肪の蓄積と心血管リスクの両方に有益と報告されています。

具体的には:

  • 減らす:脂身の多い肉、揚げ物、菓子パン、洋菓子、加工食品
  • 置き換える:青魚(さば・いわし・さんま)を週2〜3回、オリーブ油大さじ1〜2杯、無塩のミックスナッツ ひとつかみ

「肉を完全にやめる」必要はありません。鶏むね肉・脂を落とした豚ヒレ・牛ももであれば、たんぱく源として積極的に活用できます。質を入れ替えるだけで、CT上の内臓脂肪が3か月で目に見えて変わってくる方が多いです。

原則2:たんぱく質を「体重1kgあたり1g以上」確保する

ダイエットで多くの方が見落とすのが、たんぱく質の量です。減量中こそ、たんぱく質は減らすのではなく増やす——ここを丁寧にお伝えしています。

理由は二つあります。

ひとつは、筋肉量の維持。減量中にたんぱく質が不足すると、脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまい、代謝が下がってリバウンドしやすくなります。

もうひとつは、満足感の持続。たんぱく質は炭水化物や脂質より満腹感が長く続くことが知られており、間食や夜食を自然と減らせます。

厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、成人の推奨量は1日あたり男性 65g・女性 50g とされていますが、減量中は 体重1kgあたり1.0〜1.2g(体重60kgの方なら 60〜72g)を目安にすることを、私はおすすめしています。

食材 1食分の目安量 たんぱく質量
1切れ(80g) 約 18g
鶏むね肉 100g 約 23g
1個 約 6g
木綿豆腐 半丁(150g) 約 10g
納豆 1パック 約 8g
牛乳・無糖ヨーグルト 200g 約 7g

朝にたまご2個+ヨーグルト、昼に鮭定食、夜に鶏むねと豆腐——このくらいのイメージで、自然に体重1kgあたり1g以上に届きます。

原則3:「朝食を抜かない・夜は3時間空ける」

タイミングも、内臓脂肪の蓄積に大きく影響します。

日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』では、朝食欠食と夜遅い食事の組み合わせが、内臓脂肪型肥満のリスクを高めると報告されています。同じカロリーでも、朝にきちんと食べて夜を軽くすると、脂肪のつき方が変わってくるのです。

私が外来でお伝えしているシンプルなルールは二つです:

  • 朝食は抜かない——軽くてよいので、たんぱく質と食物繊維を必ず入れる(例:ゆで卵+具沢山のお味噌汁+小さなおにぎり)
  • 就寝の3時間前までに夕食を済ませる——どうしても遅くなる日は、夕食をたんぱく質中心にして炭水化物を抜く

「夜を軽くするなんて、お腹が空いて眠れない」と最初はおっしゃる方も多いですが、3週間続けると慣れてきます。むしろ朝の目覚めが軽くなり、翌日のパフォーマンスが上がる、という声を多くいただきます。

1日の組み立て例

実際の食卓のイメージを、患者さんによくお話しする例でお見せします(およそ 1,800kcal・たんぱく質 80g)。

時間 内容 ポイント
朝 7:00 ゆで卵2個・無糖ヨーグルト・全粒粉トースト1枚・サラダ たんぱく質と食物繊維を必ず
昼 12:30 鮭の塩焼き定食(小鉢2品・ごはん150g) 外食でも魚を選ぶ
間食 16:00 素焼きアーモンド ひとつかみ 揚げ菓子の代わりに不飽和脂肪
夕 19:00 鶏むねと野菜の蒸し物・お味噌汁・温豆腐・ごはん80g 就寝3時間前までに

調味料はオリーブ油・ごま油を活用し、揚げ物は週1回まで。これを3か月続けるだけで、CT上の内臓脂肪面積が 20〜30㎠ 減る方は珍しくありません。

落ちない時に見直したい3つのこと

「3か月続けたのに、お腹周りが変わりません」——こうおっしゃる方には、次の3点を確認していただきます。

1. 隠れ糖質はないか

「ごはんを減らしたつもり」でも、ジュース・スポーツドリンク・味付きのコーヒー飲料・菓子パンなどに想像以上の糖質が含まれていることがあります。液体の糖は、固形より急激に内臓脂肪につきやすいため、まず甘い飲み物をすべて水・お茶・無糖コーヒーに置き換えるだけで、変化が見える方が多いです。

2. アルコールの量と頻度

ビール・日本酒・甘いカクテルは、糖質に加えてアルコール自体が肝臓で脂肪に変わります。日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』では、純アルコール換算で1日 20〜25g(ビール中瓶1本、日本酒1合、ワイングラス2杯)までが目安とされています。週2日の休肝日を作ることも、内臓脂肪を減らす上で効果的です。

3. 睡眠時間と質

意外に思われるかもしれませんが、睡眠不足は内臓脂肪の大敵です。睡眠時間が6時間を下回る日が続くと、食欲を増すホルモン(グレリン)が増え、満腹感を抑えるホルモン(レプチン)が減るため、自然と食べる量が増えてしまいます。1日7時間前後の睡眠を確保できているか、見直してみてください。

受診の目安——こんな方は早めに専門医へ

食事と生活の工夫を続けても、以下のような状態であれば、内科・代謝内科の受診をおすすめします。

  • 健診で腹囲・血糖・血圧・脂質のうち2つ以上が基準を超えている
  • 半年以上続けても腹囲が変わらない
  • 急激な体重増加または減少
  • 食後の強い眠気・倦怠感が続く
  • ご家族に糖尿病・心筋梗塞・脳卒中の方がいる

メタボリックシンドロームは、放置すると心筋梗塞・脳卒中・2型糖尿病のリスクを高めます。一方、早期に介入すれば、内臓脂肪は最も減らしやすい脂肪です。一人で頑張りすぎず、ぜひ専門医にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 糖質を完全にカットすれば、もっと早く落ちますか?

A. 短期的には体重が落ちますが、長期的にはおすすめしていません。極端な糖質制限は、筋肉量の低下・低血糖・脂質代謝の悪化を招くことがあります。私の外来では「ごはんは1食 150g、夜は80g」という現実的なラインで、長く続けられる範囲を一緒に決めています。

Q2. 運動はどのくらいすればいいですか?

A. 食事の改善と並行して、1日合計30分の有酸素運動(速歩でもOK)と、週2回の筋トレが理想的です。ただし、まず食事を整えるだけでも、内臓脂肪は確実に動きます。運動から始めて挫折するより、食事から始めて運動を後から足す——この順番をおすすめしています。

Q3. 内臓脂肪は何kg減ると、健康指標が改善しますか?

A. 日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』では、現在の体重の3〜5%の減量で血糖・血圧・脂質の改善が期待できるとされています。体重70kgの方なら、2〜3.5kgの減量。これは無理のない範囲で、3〜6か月かければ十分達成できる目標です。

Q4. プロテインドリンクは飲んだほうがいいですか?

A. 日々の食事で体重1kgあたり1g以上のたんぱく質が摂れていれば、無理に追加する必要はありません。ただし、朝食が軽くなりがち・運動後の補給が難しい場合は、無糖タイプ(できれば乳清プロテイン)を1日1杯活用するのは現実的な選択肢です。

Q5. お腹だけ膨らんでいて、手足は細いです。これは内臓脂肪ですか?

A. その可能性が高いです。「リンゴ型肥満」と呼ばれるパターンで、内臓脂肪型に多く見られます。腹囲を測ってみてください——男性85cm・女性90cm以上なら、内臓脂肪型肥満の可能性が高いと考えられます。CT検査または健診でのウエスト計測で、客観的な数値を把握することをおすすめします。

Q6. ご自宅でできる内臓脂肪チェック法はありますか?

A. 以下3つをご自宅で実施してください:① 腹囲メジャーで毎週測定(へその位置・息を吐ききった状態)。② 体組成計で内臓脂肪レベル測定(タニタ・オムロンの中位機種で測定可)。③ 前向き写真を週1回(同じ服・同じ照明)。腹囲 -3cm = 内臓脂肪 -10〜20㎠の改善目安です。CT検査での精密測定はmasabo-clinic.comでもご相談承ります。

Q7. 食事と運動だけでは内臓脂肪が落ちません。GLP-1ダイエットは選択肢になりますか?

A. 食事・運動を3〜6ヶ月続けても内臓脂肪が動かない場合、医療的減量の選択肢があります。BMI 27 以上で合併症(高血圧・脂質異常・睡眠時無呼吸)がある方は、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬)による医療的減量の医学的適応となります。詳しくはGLP-1ダイエット完全比較で薬剤の違いを解説。担当は糖尿病専門医・小林正敬(GLP-1 累積処方経験 1000例超)。自費オンライン診療は初診から可

まとめ

内臓脂肪は、食事の「脂質の質・たんぱく質の量・タイミング」を整えるだけで、確実に減らせる脂肪です。

原則 やること
1. 脂質の質 飽和脂肪を減らし、青魚・オリーブ油・ナッツに置き換える
2. たんぱく質 体重1kgあたり1g以上を3食に分けて確保
3. タイミング 朝食を抜かず、夜は就寝3時間前までに済ませる

体重を劇的に減らさなくても、腹囲が3cm細くなれば、健康指標は確実に動きます。3週間で習慣を作り、3か月で結果を出す——この見通しで、ご自身の食卓を一度組み立て直してみてください。

困ったとき、変化が見えないときは、いつでも内科・代謝内科の専門医にご相談ください。一緒に、続けられる形を探していきましょう。


監修・執筆小林 正敬 医師(まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長)

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本糖尿病協会 糖尿病認定医
  • 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
  • 日本内科学会 認定医制度審議会 病歴要約評価委員
  • 日本老年医学会 老年科専門医・指導医
  • 日本抗加齢医学会 抗加齢専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター(ICD)

所属学会:日本糖尿病学会/日本糖尿病協会/日本内科学会/日本老年医学会/日本抗加齢医学会/日本消化器内視鏡学会/日本動脈硬化学会/日本感染症学会/日本超音波医学会/日本東洋医学会 医籍登録番号:第486214号

公開日:2026-05-12 最終更新日:2026-05-12

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参考文献

  1. Després JP. Body fat distribution and risk of cardiovascular disease: an update. Circulation. 2012;126(10):1301-13. PMID: 22965769
  2. Neeland IJ, Ross R, Després JP, et al. Visceral and ectopic fat, atherosclerosis, and cardiometabolic disease. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019;7(9):715-725. PMID: 31345776
  3. Hall KD, Sacks G, Chandramohan D, et al. Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet. 2011;378(9793):826-37. PMID: 21872751
  4. 日本肥満学会編『肥満症診療ガイドライン2022』ライフサイエンス出版
  5. 日本糖尿病学会編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂
  6. 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」
  7. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  8. American Heart Association. Dietary Cholesterol and Cardiovascular Risk: A Science Advisory From the American Heart Association. Circulation. 2020;141(3):e39-e53
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この記事を書いた人

まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本糖尿病協会 糖尿病認定医/日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本内科学会 認定医制度審議会 病歴要約評価委員/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本抗加齢医学会 抗加齢専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター。医籍登録番号 第486214号。国立国際医療研究センター国府台病院で内科研修を始めた後、糖尿病内科の道に進み、現在は最新の薬物療法(GLP-1作動薬・チルゼパチド等)と、栄養・運動・漢方を組み合わせた包括的な糖尿病・代謝診療を実践しています。

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