食べる順番で血糖値は変わる?ベジファーストは古いのか、主食を最後にする根拠と食べ方

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食後の血糖値が気になるなら、野菜や魚・肉のおかずを先に食べ、主食を最後に回してください。2型糖尿病の人が同じ食事を順番だけ変えて食べたところ、主食を後にした日のほうが食後の血糖値は上がりにくくなりました。「ベジファーストは古い」と聞いても、野菜から食べるのをやめる必要はありません。魚や肉のおかずから食べても、主食を後に回せます。

目次

血糖値が気になるときは野菜やおかずを先に食べる

野菜から食べにくい日は、魚や肉のおかずを先に食べてもかまいません。ご飯やパン、麺などの主食を最後に回す食べ方は「カーボラスト」とも呼ばれます。私は診察で、まず「ご飯やパンは最後にしましょう」とお伝えします。野菜を先にして主食を後にする指導を続けた人たちのほうが、2年後のHbA1cが低かったからです。

この試験では、2型糖尿病の人101人を、野菜を先に食べる指導と食品交換表による指導に分け、2年後のHbA1cを比べました。HbA1cは両方で下がりましたが、野菜を先にした人たちでは8.3%から6.8%、食品交換表で指導を受けた人たちでは8.2%から7.3%でした。

同じ食事で順番だけを変えた試験では、2型糖尿病の人16人が、たんぱく質と野菜を食べて10分後に主食を食べました。食後の血糖値がいちばん高いとき、主食を先にした日は食前より75.0 mg/dL上がり、最後にした日は34.7 mg/dLの上昇でした。空腹時と食後の数値の違いは空腹時血糖値と食後血糖値の違いで解説しています。

食べる順番で血糖値が変わる理由

主食を後にすると、糖が腸に届く速さが変わります。主食の糖は、胃から腸へ送られてから吸収されます。2型糖尿病の人が日を変えて食べ比べた研究では、食べたご飯の半分が胃から送り出されるまでの時間は、ご飯を先にした日が約30分、魚を先にした日が約83分でした。魚を先にした日は、食後の血糖値の上がり方も小さくなりました。

腸から出るホルモンも関わります。魚や肉を先にした研究では、体の中で作られるホルモンのGLP-1が多く出ました。たんぱく質と野菜を先にして炭水化物を最後にした16人の試験でも、GLP-1が多く出ています。食べ物の種類による血糖値の上がり方の違いを表すGI・GLは低GI食の記事で解説しています。

ベジファーストは古い、効果がないと言われるのは本当?

2020年版の食事摂取基準には、野菜やおかずを先に食べ、主食を後にする食べ方が紹介されています。

「特に、食物繊維に富んだ野菜を先に食べることで食後血糖の上昇を抑制し、HbA1c を低下させ、体重も減少させることができることが報告されている。ただし、これは野菜に限らず、たんぱく質などの主菜を先に摂取し、その後に主食の炭水化物を食べると食後の血糖上昇は抑制される。」— 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」Ⅱ-3 生活習慣病 糖尿病

2025年版ではこの記載がなくなったと広く伝えられています。2025年版の糖尿病の章では、2020年版がこの記載の根拠にした論文2本が参考文献から外れています。参考文献から外れたことと、野菜を先に食べても効果がないことは別の話です。

糖尿病の人を調べた研究6本、計144人をまとめた2026年の報告でも、主食を最後にしたほうが食後の血糖値は上がりにくい結果が多く見られました。まだ人数が少なく、研究のやり方もそろっていないため、はっきりした結論とまでは言えません。野菜から食べて主食を後にする習慣は、続けてください。

ベジファーストとミートファースト、どちらを選ぶ?

野菜でも魚や肉のおかずでも、先に食べれば主食を後に回せます。別の小さな研究では、2型糖尿病の人12人が魚や肉を先に食べた日に、ご飯を先にした日より食後の血糖値が上がりにくくなりました。

野菜と魚・肉のどちらを先にするほうがよいかは、まだ決められません。両方を直接食べ比べた結果がないためです。食卓にある野菜やおかずから食べ、主食を後に回してください。

食べる順番の研究で分かったこと

人の食事では主食を後にする食べ方が調べられ、油を先にする食べ方はマウスで調べられています。

研究(年) 対象と人数 比べた食べ方 分かったこと
2011年2型糖尿病の人101人野菜を先にする指導と食品交換表による指導24か月後、野菜を先にした人たちのHbA1cが低かった
2016年2型糖尿病の人12人と健康な人10人ご飯を先にする日と、魚または肉を先にする日少人数の研究で、2型糖尿病の人は魚・肉を先にした日のほうが食後の血糖値が上がりにくかった
2017年2型糖尿病の人16人同じ食事で順番を変え、主食とたんぱく質・野菜の間を10分あけた主食を最後にした日のほうが、食後の血糖値が上がりにくかった
2026年のレビュー糖尿病の人を調べた6本、計144人主食を最後にする食べ方など食後の血糖値が上がりにくい結果が多い。人数が少なく、研究のやり方もそろっていない
2026年マウスブドウ糖より先にオリーブ油を与えたブドウ糖を与えたあとの早い時間に、血糖値が上がりにくかった。人では未確認

「油を先に」は人の食事にも使える?

オリーブ油を先に与えたマウスでは、胃から腸へ食べ物が送られる速さが遅くなりました。2026年の研究では、ブドウ糖を与えたあとの早い時間に、血糖値の上がり方も小さくなっています。

診察で「食事の前に油をとったほうがいいですか」と聞かれることがあります。私は「人の食事で効くかはまだ分かりません。油を足すと食事全体のエネルギーも増えます。まずは野菜やおかずを先にして、ご飯を最後にしましょう」とお答えしています。

野菜やおかずのあと、何分あけて主食を食べる?

主食まで何分あけるのがよいかは、まだ決まっていません。2型糖尿病の人16人が同じ食事を順番だけ変えた試験では、たんぱく質と野菜の10分後に主食を食べ、食後の血糖値が上がりにくくなりました。間隔を変えて比べた試験ではないため、10分を目標に時計を見ながら食べる必要はありません。まず主食を後に回してください。

サラダを先に食べると血糖値はどうなる?

サラダなどの野菜を先に食べて主食を後にすると、食後の血糖値は上がりにくくなります。

サラダに芋やかぼちゃが入っているときは、葉物野菜と同じようには考えず、主食に近いものとして扱ってください。ドレッシングに含まれる糖質も確かめましょう。

見落としやすい落とし穴

順番を変えて安心し、ご飯の量が増えてしまう。ご飯を増やすと、その分、食後の血糖値も上がりやすくなります。

丼ものや麺類は、具と主食が混ざっている。一皿のままでは、主食を最後にしにくい食事です。

マウスのニュースを見て、食事に油を足す。いつもの食事に油を加えれば、その分だけ食事全体のエネルギーが増えます。

ご自宅では主食を最後に回すことから始める

いつもの献立で、野菜か魚・肉のおかずを先に食べ、主食を最後に回してください。インスリンや一部の飲み薬で治療中の方は、食べ方を変えたら血糖値を測り、受診時に主治医へ伝えてください。薬は自己判断で変えないでください。

ご自身で血糖値を測っている方は、同じ献立で順番だけを変えた日の食後の値を比べてみてください。私は診察でその記録とHbA1cを確認します。順番を変えてもHbA1cが動かないときは、主食の量や中身、間食を聞き、薬の見直しも含めて次に変えることを決めます。HbA1cの数値の見方はHbA1cの見方で、食品の選び方はHbA1cと食べ物の解説で解説しています。

よくあるご質問

Q1. 空腹のとき、おにぎりから食べると血糖値はどうなりますか?

A. 2型糖尿病の人16人が同じ食事を順番だけ変えて食べた研究では、炭水化物を先にした日のほうが、たんぱく質と野菜を先にして炭水化物を最後にした日より食後の血糖値が大きく上がりました。おにぎりを食べるなら、おかずや野菜を先に食べ、主食を後に回してください。

Q2. 丼ものや麺類など、一皿で食べるときはどうしますか?

A. 具と主食を分けられる料理なら、具を先に食べて主食を後に回します。分けにくいときは、おかずや野菜を一品添えて先に食べましょう。

Q3. 食べる順番を変えると体重も減りますか?

A. 2020年版の食事摂取基準には、野菜を先に食べて体重も減ったという報告があると記されています。一方、野菜を先にする指導を2年間続けた試験からは、体重が減るかどうかは分かりません。順番を変えるだけで体重が減るとまでは言えません。体重を減らしたいときは、食べる順番を変えても、ご飯の量は増やさないでください。

Q4. 糖尿病でなくても、主食を最後にする意味はありますか?

A. 健康な人10人が魚や肉を先に食べた日も、食後の血糖値の上がり方は小さめでした。ただ、この10人の結果から、健康な人にもはっきりした差があるとまでは言えません。野菜を先にする長期の試験や、主食を最後にした研究は糖尿病の人が対象です。糖尿病でなくても主食を最後にする意味があるかは、まだはっきりしていません。

Q5. 果物・ヨーグルト・味噌汁は、どの順番で食べますか?

A. 果物は糖を含むので、主食に近いものとして考えます。ヨーグルトや味噌汁を食べる順番は、この記事で紹介した研究では比べていません。まず野菜やおかずを先に食べ、主食を最後にしてください。

食後の血糖値と食べ方を当院に相談するとき

診察では、食後の血糖値やHbA1cの記録と、ふだんの献立や食べる順番を一緒に確認します。順番を変えても数値が動かないときは、主食の量や中身、間食、薬を見直します。食後の血糖値や食べ方について、保険・自費どちらの可能性も含めてご相談ください。

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受診時には、健診結果票と血糖値・HbA1cの記録をお見せください。

当院では、保険診療で糖尿病・生活習慣病を診ています。担当医は小林 正敬(日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本内科学会 総合内科専門医)です。対面診療とオンライン診療に対応しています。

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参考文献

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この記事を書いた人

まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本糖尿病協会 糖尿病認定医/日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本内科学会 認定医制度審議会 病歴要約評価委員/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本抗加齢医学会 抗加齢専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター。医籍登録番号 第486214号。国立国際医療研究センター国府台病院で内科研修を始めた後、糖尿病内科の道に進み、現在は最新の薬物療法(GLP-1作動薬・チルゼパチド等)と、栄養・運動・漢方を組み合わせた包括的な糖尿病・代謝診療を実践しています。

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