Notebook

— Notebook · 10

診療室の外から
書きはじめる.

代表理事・小林 正敬による、診療と診療のあいだの小さなノート。学会論文ではなく、土曜の午後や、休日のアーケード、患者さんとの言葉のやりとりから生まれた所感を、不定期で綴ります。

小林 正敬

FOUNDING DIRECTOR · DIABETOLOGIST

“健やかさは、診療室の外にもある。”

in vivo. のキャッチコピーが、そのまま Notebook を始める理由になりました。
監修論文や処方ガイドラインには載らないけれど、
医師として、ひとりの人間として、考えていることがあります。

— ALL LETTERS

第9回|「飲むGLP-1」が現実になった夏、僕らの夕食は現実のままである。

経口GLP-1薬オルフォルグリプロン(Foundayo)が2026年4月にFDA承認。飲むGLP-1の実力と、日本での見込み、そして薬が進歩しても変わらない食卓の話を、糖尿病専門医が綴ります。

第8回|のどが渇いた、と気づいた時には、もう遅い。

朝、診察前のコーヒーを淹れる手が、なんとなく重い。7月の頭、まだ夏は本気を出していないのに、窓の外の空気は、すでに「これから3ヶ月、よろしくな」と低い声で挨拶してくる。今年の予報は、また厳しい。(

第7回|世界が燃えている朝に、僕らはただ、速く歩く。

朝、診察前のコーヒーを淹れながら、スマホのニュースを片目で見る。中東情勢が、また重たい見出しで並んでいる。ホルムズ海峡、という言葉が、ここ数週間、一年分くらいの頻度で画面に出てくる。日本は原油の9割超を中東に頼っているので、あの細い海峡が詰

第6回|夏至の健診表は、僕らの身体についた付箋である。

朝、診察前のコーヒーを淹れながら、机の右側を見ると、未開封の白い封筒が3通、地味に積まれている。1通は会社の健診結果、もう1通は人間ドックの追加報告、3通目は「ご精査をお勧めします」の二次案内、たぶん。3つとも自分の身体の話なのに、開けるの

第5回|夏ボーナス104万円、と、診察室で増える「先生、これ試したいんですが」。

朝、診察前のコーヒーを淹れながら、机の上に積んである午前枠のカルテに目を落とす。6月の中旬、梅雨の合間の小休止みたいな晴れ間の日。今日の予約欄に、ぼちぼち、こういう一行が目につくようになる。「先生、ボーナス入ったら、ちょっと相談したいことが

第4回|梅雨の不眠と、翌朝の血糖。

朝、診察前のコーヒーを2杯目に入れ替えながら、ふと窓の外を見ると、梅雨入り前の重たい空が広がっている。湿度の高い空気というのは、内分泌の医者にとっては、患者さんからの「先生、最近寝つきが悪くて」を、一年でいちばん頻繁に聞く合図でもある。

第3回|テストステロンと、月曜朝の会議室。

朝の予約欄に、こういう一行があった。「妻から、最近、会議で発言できなくなった、と言われて、来ました」── 50代男性、初診。

第2回|AIが時間をくれた、その時間、なぜか体には届かなかった件。

夜中の11時、コンビニのおにぎり棚の前ではなく、今度はクリニックの院長室で、僕は手元のディスプレイを見ている。

第1回|糖尿病の食事管理とダイエット、似てるようで別ゲーでした。

朝の診察前、コンビニのおにぎり棚の前で数秒止まる。鮭にするか、ツナマヨにするか、いや、そうだ今日は血糖の話を書く日だった、と思い出して鮭を取り、戻し、ツナマヨを取り、また戻す。値札を見るとおにぎり1個180円台が当たり前になっていて、令和の

Notebook を、はじめます。

代表理事・小林正敬による日常エッセイ「Notebook」の第1号。学会論文ではなく、土曜の午後や、休日のアーケード、患者さんとの言葉のやりとりから生まれた所感を、不定期で書きます。

最新の Letter: 第9回|「飲むGLP-1」が現実になった夏、僕らの夕食は現実のままである。