健診で血圧が高いと言われたら、上と下のどちらが高い数値帯に入るかを見てください。上が160 mmHg以上、または下が100 mmHg以上なら、家庭血圧の記録を待たずに受診を先にします。それより低い帯でも、糖尿病などの病気や危険因子があれば受診の順番は変わります。家庭血圧で普段の値も確かめてください。私は健診の一度の値だけで病名を決めず、ほかの結果と家庭での記録を合わせて次の行動を考えます。
健診で血圧が高く引っかかったら、どの数値帯を見ればよいですか?
健診の血圧は、上と下のうち高いほうの数値帯に沿って対応を決めます。次の表は、厚生労働省の健診判定値とフィードバック文例集に基づきます。病名を決める表ではありません。
| 健診の血圧 | 判定値との関係 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 上が160 mmHg以上、または下が100 mmHg以上 | 受診勧奨判定値以上 | すぐに受診 |
| 上が140〜159 mmHg、または下が90〜99 mmHg | 受診勧奨判定値以上 | 脳心血管病・心房細動・慢性腎臓病・糖尿病・危険因子の集積がなければ、生活改善後、おおむね1か月後に医療機関で再検査。いずれかがあれば至急受診 |
| 上が130〜139 mmHg、または下が85〜89 mmHg | 保健指導判定値以上 | 生活改善。肥満者は特定保健指導も活用 |
| 上が130 mmHg未満、かつ下が85 mmHg未満 | 保健指導判定値未満 | 健診を継続 |
保健指導判定値は、上が130 mmHg以上または下が85 mmHg以上です。受診勧奨判定値は、上が140 mmHg以上または下が90 mmHg以上です。上と下が違う帯なら、高いほうの帯を見てください。再検査の進め方は健診で「要再検査」と言われたときの案内にもまとめています。
学会の血圧区分と健診の判定値は、どう違いますか?
学会の血圧区分は血圧の状態を示し、健診の判定値は保健指導や受診を勧める目安です。日本高血圧学会の数値を、測る場所ごとに並べます。
| 区分 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120/80 mmHg未満 | 115/75 mmHg未満 |
| 高血圧の基準 | 140/90 mmHg以上 | 135/85 mmHg以上 |
| 治療中の降圧目標 | 130/80 mmHg未満 | 125/75 mmHg未満 |
治療中の降圧目標は、健診で受診を勧める判定値ではありません。家庭血圧にも診察室血圧の値をそのまま当てはめません。私は外来で、診察室血圧が140/90 mmHg以上の方の家庭血圧が135/85 mmHg以上か未満かを確認し、白衣高血圧を疑うか、治療の相談に進むかを分けます。
健康診断で上が140 mmHgなら、高血圧ですか?
健診で上が140 mmHgなら受診勧奨判定値以上で、学会の診察室血圧の高血圧基準にも当たります。ただし、健診の一度の値だけで普段の血圧まで決めつけません。
上が140〜159 mmHg、または下が90〜99 mmHgの帯では、受診の順番がほかの病気や危険因子で変わります。厚労省の文例集は、脳心血管病、心房細動、慢性腎臓病、糖尿病、危険因子の集積がなければ、生活習慣を改善し、おおむね1か月後に医療機関で再検査するよう案内しています。いずれかがある場合は至急受診する案内です。
至急かかりつけの医療機関を受診してください。
出典:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」フィードバック文例集
私はこの帯の方について、家庭血圧と既往歴を確認します。同じ健診結果にある血糖・脂質・尿蛋白も見て、再検査まで待つか、至急受診するかを決めます。家庭で一度低い値が出たことだけを理由に、受診の判断を先延ばしにはしません。
健康診断で上が150 mmHgなら、いつ再検査しますか?
上が150 mmHgは、140〜159 mmHgの受診勧奨判定値の帯に入ります。この帯では、150 mmHgという値だけで再検査までの時間は決まりません。
同じ150 mmHgでも、生活改善後におおむね1か月後に再検査する人と、至急受診する人に分かれます。分かれ目となる病気・危険因子は、前の「健康診断で上が140 mmHgなら、高血圧ですか?」の節を確認してください。上の値がこの帯でも、下が100 mmHg以上なら、より高い帯の対応を優先してください。
上が130〜139 mmHg、または下が85〜89 mmHgなら何をしますか?
上が130〜139 mmHgで下が90 mmHg未満、または下が85〜89 mmHgで上が140 mmHg未満なら、健診では保健指導判定値以上です。学会が示す診察室血圧の高血圧基準には届いていなくても、生活習慣を見直し、家庭で普段の血圧を確かめる理由があります。
肥満者には、特定保健指導の積極的な活用と生活改善が案内されています。非肥満者にも生活改善が案内されています。特定保健指導の対象になった方は、案内を積極的に活用してください。血糖や脂質などの結果も一緒に確認します。文例集では、脳心血管病などの病気や危険因子があれば、薬物療法が必要になる場合もあるため医療機関での相談を勧めています。
私は外来で、体重の変化、運動、飲酒、食事を尋ねます。家庭血圧の記録や血糖・脂質の結果も見ます。健診の血圧だけを切り離して判断しないためです。
上が160 mmHg以上、または下が100 mmHg以上ならどうしますか?
上が160 mmHg以上、または下が100 mmHg以上なら、厚労省の文例集はすぐに医療機関を受診するよう案内しています。健診会場で緊張していたとしても、家庭で測り直した結果がそろうまで受診を待つ帯ではありません。健診結果を持って相談してください。
私は外来で、そのときの測定条件や家庭血圧も確認します。ただし、それは受診したうえで血圧の状態を見極めるためです。症状を伴う場合の救急の相談は、下の節で説明します。
血圧の「やばいライン」は何 mmHgですか?
健診で受診を先にする帯は、上が160 mmHg以上、または下が100 mmHg以上です。厚労省が紹介する学会の分類では、上が180 mmHg以上、または下が110 mmHg以上は、さらに高い区分に入ります。
数値だけで症状の有無は分かりません。胸の痛みや息苦しさ、手足の動かしにくさ、言葉の出にくさなどがあれば、通常の受診予約を待たずに救急の相談をしてください。症状がなくても、160/100 mmHg以上の帯は家庭血圧を待たずに受診を先にします。
健診の受診勧奨基準は160/100 mmHgに緩くなったのですか?
健診の血圧の受診勧奨判定値は、上が140 mmHg以上または下が90 mmHg以上のままです。160/100 mmHgは、厚労省の文例集で「すぐに受診」と案内する帯の境目です。
日本高血圧学会が示す診察室血圧の高血圧基準も140/90 mmHgです。健診の判定値と、受診を急ぐ帯の境目を混同しないでください。
健診時だけ血圧が高いのはなぜですか?
健診時だけ血圧が高い場合、緊張や移動直後などの測定条件による変動、白衣高血圧などが考えられます。
診察室では血圧が高く、家庭では正常な状態を白衣高血圧と呼びます。今のところ問題がなくても、将来、持続性高血圧を発症する危険性があるため、定期的に受診し、検査を受けてください。逆に、診察室では正常で家庭では血圧が高い状態は仮面高血圧です。家庭血圧を測らないと見逃され、危険度は持続性高血圧と同じか、それ以上です。私は外来で診察室と家庭の記録を並べ、測定条件による差も確認してから次の手を決めます。
家庭血圧はご自宅でどう測りますか?
家庭血圧は、上腕で測る血圧計を使い、朝と晩に測って記録します。朝は起床後1時間以内で、トイレを済ませ、朝食と服薬の前に測ります。晩は就寝直前に測ります。
測る前に椅子に1〜2分座って休みます。1機会に原則2回測り、その平均を記録してください。週に5日以上の結果を主治医に見せます。健診で受診を勧められた方は、可能なら起床後と就寝前に1週間程度測り、記録を持参してください。
家庭血圧は135/85 mmHg以上が高い値の目安です。先ほどの診察室血圧の表をそのまま当てはめないでください。健診結果と家庭血圧の記録を一緒に持参すると、診察で判断しやすくなります。
健診の日に血圧を「下げる」方法はありますか?
健診の日は測定条件を整えることで、そのときの血圧をより確かめやすくなります。移動直後は値が変わることがあります。測る前にトイレを済ませ、椅子に1〜2分座って休んでください。
緊張で高く出たと感じても、その値をなかったことにはしません。家庭でも朝晩に測り、健診の値と並べてください。普段の血圧を確かめることが目的です。
血圧が高いまま放置するとどうなりますか?
高い血圧が続くと、脳卒中や心臓病にかかりやすくなります。厚労省のフィードバック文例集は、120/80 mmHg未満の人と比べた目安を示しています。
上が130〜139 mmHgまたは下が85〜89 mmHgの帯では約1.5〜2倍です。上が140〜159 mmHgまたは下が90〜99 mmHgの帯では約3倍です。上が160 mmHg以上または下が100 mmHg以上の帯では約5倍です。この差を踏まえ、健診結果を放置せず、家庭血圧を記録し、ほかの健診項目も確認して必要な受診につなげます。
上が140 mmHgなら、すぐ薬を飲むことになりますか?
上が140 mmHgでも、最初から薬を飲むと決まるわけではありません。受診したうえで、家庭血圧、既往歴、血糖・脂質・尿蛋白などを合わせて考えます。
私は薬を飲みたくないと相談された場合、生活改善をどう進め、いつ再評価するかを先に決めます。一方、病気や危険因子が重なる方では、受診を急ぎ、薬物療法の必要性も判断します。治療中の降圧目標と、健診で受診を勧める判定値は別のものです。
血圧を下げるために、ご自身で何ができますか?
ご自身でできることは、生活習慣の改善と家庭血圧の記録です。厚労省の文例集は、次の生活改善を挙げています。
- 太っている方や以前より体重が増えた方は、減量に取り組む
- 適度に運動する
- お酒を減らす
- 減塩する
- 野菜を多くし、果物も適度に食べる
減塩の具体的な進め方は減塩の記事をご覧ください。あわせて、ご自宅で朝晩の血圧を測って記録してください。ただし、160/100 mmHg以上の帯や至急受診が案内される場合は、生活改善や記録がそろうのを待たずに受診します。
血糖や脂質も高いときは、血圧をどう読みますか?
血圧と血糖・脂質がともに高い場合は、健診結果をまとめて見ます。厚労省の文例集も、複数の項目に問題がある場合は、その重なりに注意して結果を伝えるよう求めています。
私の外来では、糖尿病や腎臓の病気の有無、脂質の結果も確認します。そのうえで、血圧について何を先に確かめるかを考えます。血糖の指標はHbA1cの数値の読み方、脂質はLDLコレステロールの数値の読み方を参照してください。尿蛋白に印がついた方は尿蛋白の数値の読み方も確認できます。
20代・30代でも健診の血圧に引っかかりますか?
20代・30代でも、健診の血圧が判定値以上になることはあります。厚労省の判定表は、ここで示した血圧の値を年齢別には分けていません。
若いからという理由だけで、上が140 mmHg以上または下が90 mmHg以上という受診勧奨判定値を読み替えないでください。一度の測定条件と家庭血圧を確かめ、ほかの健診結果も合わせて見ます。高く出た原因は、年齢だけでは決められません。
健診の血圧で見落としやすい落とし穴
健診の血圧では、判定値、受診の順番、測る場所の違いを取り違えやすくなります。
160/100 mmHgを受診勧奨判定値だと思うこと。受診勧奨判定値は140/90 mmHgです。160/100 mmHgは、すぐに受診する帯の境目です。
家庭で一度低ければ受診しなくてよいと決めること。家庭血圧の記録は役立ちます。ただし、病気や危険因子の有無によっては至急受診する案内です。
診察室と家庭の数値を同じ基準で読むこと。測る場所によって基準と治療中の目標は異なります。私は両方の記録を並べ、どの条件で測った値かを確かめます。
よくあるご質問
Q1. 健診で130/85 mmHgと言われました。高血圧ですか?
健診では保健指導判定値以上です。ただし、健診の一度の値だけで高血圧と診断するものではありません。生活習慣を見直し、家庭血圧を記録して普段の状態を確かめてください。
Q2. 上と下で違う数値帯に入ったら、どちらを見ますか?
上または下のどちらかが高い帯に入れば、その帯の対応を見ます。たとえば下が100 mmHg以上なら、上の値が低くても受診を先に考えます。
Q3. 健診で140/90 mmHgでした。家庭で低ければ受診しなくてよいですか?
家庭血圧の記録は役立ちますが、一度低かっただけでは判断できません。脳心血管病、心房細動、慢性腎臓病、糖尿病、危険因子の集積がある場合、厚労省の文例集は至急受診を案内しています。
Q4. 健診で160/100 mmHgでした。家で測り直してから受診してもよいですか?
家庭で測った記録は診察に役立ちますが、受診を先延ばしにする理由にはしないでください。この帯について、厚労省の文例集はすぐに医療機関を受診するよう案内しています。
Q5. 血圧が高いと心電図も必要ですか?
厚労省のプログラムでは、詳細な健診として行う心電図の対象に、上が140 mmHg以上または下が90 mmHg以上などの条件を挙げています。実際に行うかは、健診の条件や診察での判断によります。
保険・自費どちらの可能性も含めてご相談ください
健診で血圧が高いと言われたら、上と下のどちらがどの帯に入るかを確認してください。上が160 mmHg以上または下が100 mmHg以上なら受診を先にします。それより低い帯でも、糖尿病などの病気や危険因子が重なれば対応は変わります。家庭血圧を測り、健診結果と一緒に見せることが、私が外来で次の判断をする際の出発点です。
体重管理も課題になる方は、保険・自費どちらの可能性も含めてご相談ください。健診の結果票と家庭血圧の記録を一緒に確認し、次に何をするかを考えます。
この記事は「健診の数値の読み方」シリーズの1本です。健診結果の各項目を数値帯ごとに読み解く記事をシリーズ一覧にまとめています。気になる項目をその場で確かめたい方は健診結果インタプリタもお使いください。
まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院のご案内
当院では、保険診療で糖尿病・生活習慣病の診療を行っています。担当医は小林 正敬です。対面診療とオンライン診療に対応しています。ご相談は予約ページから。お知らせはLINE公式アカウント、診療案内は公式ホームページでご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」、別紙5・フィードバック文例集
- 日本高血圧学会「世界も日本も、高血圧基準は 140/90 mmHgです」(高血圧の基準)
- 日本高血圧学会「『高血圧の日』について」(正常血圧・降圧目標)
- 日本高血圧学会「家庭血圧測定パンフレット」(家庭血圧の測り方・基準)
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