尿糖(±)(+)(2+)の意味|健診で糖が出たとき糖尿病かを見分ける順番を糖尿病専門医が解説

急な症状でお困りの方へ ─ 胸痛・麻痺・激しい頭痛・呼吸困難など緊急性のある症状は 救急受診ガイド(119を呼ぶ目安) をご確認ください。

血液の検査は基準内なのに、尿糖の欄にだけ(+)がついている。あるいは逆に、尿糖は(−)なのにHbA1cに印がついている——尿に糖が出たこと自体は糖尿病の診断ではありません。尿糖は「血糖値が腎臓の処理能力を超えた時間があったかもしれない」というサインで、糖尿病かどうかを決めるのは血液です。まず同じ日の空腹時血糖とHbA1cを並べ、それで決まらなければ別の日の再検査やブドウ糖負荷試験に進みます。逆に、尿糖が(−)でも糖尿病は否定できません。結果票のどこを並べて読めばいいのか、早見表から始めます。

目次

早見表——尿糖の記号が意味すること

尿糖は、尿に試験紙を浸して色の変化で糖の濃さを段階表示する検査です。記号の意味は、同じ結果票に載っている血糖値とHbA1cとの組み合わせで決まります。

尿糖 尿の中の糖 次の一歩
(−)検出されない血糖・HbA1cが高ければそちらが優先
(±)100mg/dLに届かない微量食後の尿でも出る。起床後2回目の尿で再検
(+)およそ100mg/dL血糖・HbA1cを確認。未測定なら採血を
(2+)以上それより濃い受診を推奨。高血糖が続いている疑い

(2+)以上の段階ごとの濃さと体の状態は、この記事の後半で1段階ずつ扱います。また、SGLT2阻害薬を飲んでいる方は、この表の読み方があてはまりません(後述)。

尿糖とは何の数字か——腎臓の「回収の限界」を超えた糖

尿糖とは、腎臓で回収しきれずに尿へあふれたブドウ糖のことです。血液中の糖は腎臓でいったんろ過されますが、健康な状態ではほぼすべてが尿細管で血液に回収されます。回収には上限があり、血糖値がおおよそ160〜180mg/dLを超えると回収が追いつかず、あふれた分が尿に出ます。この上限の血糖値を「腎閾値」と呼び、個人差が大きいことが知られています。

健診で使う試験紙は、どのメーカーでも(+)の濃さがそろえられています。

「現在国内で販売されている試験紙は、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の指針により、1+が100mg/dLとなるように標準化されています。」——日本臨床検査専門医会「検査のはなし」

つまり(+)は「尿1dLあたり糖がおよそ100mg」という意味で、血糖値そのものではありません。尿糖は採尿した時点までの数時間に血糖が腎閾値を超えていたかを映すだけで、その高さや期間は教えてくれません。

(2+)(3+)(4+)は何が違うのか——段階ごとの濃さと体の状態

尿糖の段階は、尿1dLに含まれるブドウ糖の濃さを色で段階分けしたものです。(+)=およそ100mg/dLは国内の試験紙で統一されていますが、それより上の段階の濃度は試験紙のメーカーごとに違います。下の表は、ある試験紙の添付文書に載っている目安です。

段階 目安の濃さ 体で起きていること 次の一歩
(±)100mg/dL未満腎臓の限界をわずかに超えた時間があった、または微量の生理的な排泄起床後2回目の尿で再検
(+)約100mg/dL血糖が腎臓の限界を超えた時間があった血糖・HbA1cを確認
(2+)約250mg/dL高い血糖がしばらく続いた時間があった受診を推奨
(3+)約500mg/dL高血糖の時間が長い、または尿が濃い早めの受診
(4+)以上約1,000mg/dL以上著しい高血糖の疑い。SGLT2阻害薬の服用中もここまで出る早めの受診。口渇・多尿・体重減少があれば当日

段階は「濃さ」の目安であって、重症度の物差しではありません。同じ血糖値でも、腎臓の限界には個人差があります。尿の濃さでも動き、水をたくさん飲んで尿が薄ければ段階は下がります。逆に尿が濃い場合は、糖の濃度が上がる一方で試験紙の反応は落ちるという逆向きの影響も添付文書に記載されており、単純に段階が上がるとは言えません。「(3+)だから重症、(+)だから軽い」とは読めません。段階が高いほど高血糖の時間が長かった可能性は上がる、という読み方が正確です。

外来で(4+)の結果票を持ってこられたとき、私が段階そのものより先に聞くのはのどの渇き・尿の量・体重の減り方の3つです。この3つが揃っていれば、採血の結果を待たずにその日のうちに動きます。数字より症状のほうが緊急度を教えてくれるからです。

放置するとどうなるのか

尿糖が出ている状態を放置した場合に問題になるのは、尿に糖が出ること自体ではなく、その裏で続いている高血糖です。高血糖が続くと、目の網膜・腎臓・末梢の神経の細い血管が傷みます。いずれも痛みが出ないまま進み、自覚症状が出てからでは戻せない部分が残ります。

ここで押さえていただきたいのは、尿糖は遅れて出る指標だということです。血糖が160〜180mg/dLを超えて初めて尿に出るので、(+)が出た時点で、血糖はすでにその水準を超えた時間を過ごしています。「今年は(±)だから来年でいい」と1年送るのは、その時間をもう1年延ばす選択になります。

なぜ血糖とHbA1cを並べて読むのか

健診の判定値——結果票で見る線

特定健診では、尿糖と血糖検査がどちらも基本の項目です。血糖検査は原則として空腹時血糖かHbA1cで、やむを得ない場合は随時血糖が使われます。結果票でどの検査を受けたか、まず確かめてください。厚生労働省の健診判定値は次のとおりです。

検査項目 保健指導判定値 受診勧奨判定値
空腹時血糖100mg/dL以上126mg/dL以上
HbA1c(NGSP)5.6%以上6.5%以上

糖尿病型の基準——診断は検査結果を組み合わせて判断する

糖尿病の診断では、健診の判定とは別に、血液の検査で「糖尿病型」に当てはまるかを見ます。尿糖は診断基準に入っていません。

検査項目 糖尿病型の基準
空腹時血糖126mg/dL以上
随時血糖200mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値200mg/dL以上
HbA1c(NGSP)6.5%以上

「糖尿病型」に当てはまることと、糖尿病の診断が確定することは同じではありません。同日の検査結果の組み合わせや別日の再検査など、診断の手順に沿って判断します。

尿糖(+)の結果票を外来で見せていただいたとき、私が最初に見るのは尿糖の欄ではなく、同じ日の空腹時血糖とHbA1cの欄です。この2つとの組み合わせで、次にすることは3通りに分かれます。

  • 尿糖(+)で、血糖かHbA1cも高い——糖尿病の可能性が高い組み合わせです。数値の読み方はHbA1cの数値の意味にまとめています
  • 尿糖(+)で、血糖もHbA1cも基準内——食後の一時的な上昇か、腎性糖尿を考えます
  • 尿糖(−)で、HbA1cが高い——いちばん見落とされやすい組み合わせです(落とし穴で詳しく書きます)

空腹時血糖が正常でも食後だけ高いタイプの方は、食後の尿でだけ尿糖が出ることがあります。この違いは空腹時血糖と食後血糖の違いで扱いました。

血糖が正常なのに尿糖が出る理由

血糖値が正常なのに尿に糖が出る状態を、腎性糖尿と呼びます。腎閾値そのものが低いために起こり、生まれつき糖を回収する輸送体の働きが弱い体質の方と、尿細管の病気や薬剤による障害で起こる方がいます。体質による腎性糖尿は、多くの場合治療を必要としません。

腎性糖尿のほかにも、血糖が正常な方で尿糖が出る場面があります。

  • 妊娠中——腎閾値が下がり、腎臓でろ過される量が増えるため
  • SGLT2阻害薬を服用中——尿に糖を出して血糖を下げる糖尿病・心不全・慢性腎臓病の薬で、陽性になるのが効き方そのもの
  • 胃の手術後や甲状腺機能亢進症——食後に糖が急に吸収されて血糖が短時間だけ跳ね上がるため

私の外来では、尿糖(+)で血糖もHbA1cも基準内の方には、日を変えて起床後いったん排尿し、朝食をとらずに出した2回目の尿をもう一度調べます。起床直後の尿には前夜の食後に出た糖が混じることがあるため、1回目は使いません。空腹時の2回目の尿でも糖が出続けるなら腎性糖尿を、出ないなら食後の血糖上昇を疑います。食後の血糖上昇を詳しく調べる場合は、ブドウ糖負荷試験を行う医療機関で確認します。

見落としやすい落とし穴

尿糖は、次の3つの場面で読み違えが起きます。

1つ目、尿糖(−)なら糖尿病ではない、と考えてしまう。腎閾値はおおよそ160〜180mg/dLなので、血糖がそこまで上がらない段階の糖尿病では尿糖は出ません。「尿がきれいだから糖尿病ではないと思っていた」とおっしゃる方の結果票が、朝食前の尿で尿糖(−)、HbA1c6.8%だったということは外来で実際にあります。この組み合わせで来られた方では、私は尿糖の(−)を判断材料から外し、HbA1cと空腹時血糖だけで糖尿病型かどうかを判定します。尿糖が(−)でもHbA1cの欄に印がついていれば、そちらで判断してください。

2つ目、ビタミンCで尿糖が隠れる。試験紙はビタミンC(アスコルビン酸)が尿に多いと反応が弱まり、実際より低く出ることがあります。ある試験紙の添付文書には、アスコルビン酸50mg/dL以上の存在で、ブドウ糖75〜125mg/dLが陰性になりうると記載されています。ビタミンCのサプリメントや栄養ドリンクを飲んだ翌朝の尿では、(−)が本当の(−)とは限りません。

3つ目、判定のアルファベットは資料によって重さが違う。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分表では、尿糖は(±)以上がひとまとめに「B 軽度異常」です。一方、同学会の一般向け解説ページでは(±)を要再検査・生活改善、(+)を要精密検査・治療の欄に置いています。結果票に「B」と書かれていても、軽く扱ってよいという意味ではありません。

尿糖を下げるには——下げるのは尿糖ではなく血糖

尿糖は、血糖が腎臓の回収の限界を超えた結果として出る数字です。したがって尿糖という数字を直接下げる方法はなく、下げる対象は血糖です。ここを取り違えると、尿糖だけが消えて血糖が高いままという状態を「治った」と誤解します。

血糖の山を低くする手は、効きめの大きい順ではなく私が外来で先に手をつける順に並べると次のようになります。

  • 食後の血糖の山を低くする——野菜・たんぱく質を先に食べる、主食の量を1食分の見当で決める、夜遅い食事を前にずらす
  • 食後に歩く——食べてから30分以内に10〜15分。運動で消えるカロリーより、食後の山が低くなる効果を狙います
  • 体重を落とす——腹囲が基準を超えている方は、まず体重の3パーセント減。腹囲85cmの記事で扱った起点です
  • 薬が必要な段階なら薬を使う——すでに糖尿病の水準なら、生活だけで粘る時間が損になります

何を食べるかの具体策はHbA1cを下げる食べ物の記事にまとめました。

よく聞かれる方法について、先にお答えしておきます。水をたくさん飲めば尿糖の段階は下がりますが、血糖は下がりません。尿が薄まるだけで、検査の数字が軽くなったように見えるだけです。尿糖を下げると称するお茶やサプリメントで、尿糖や血糖が下がることを確かめられたものは私は知りません。物を売らない立場から言えば、その費用は食事の組み立てを1回相談することに使うほうが確実です。

妊娠中の方は、自己流の食事制限をしないでください。母体と赤ちゃんの両方に必要な量があるため、制限の設計は産科の管理のもとで行います。

そして、尿糖が(−)に戻っても、血糖が下がった証明にはなりません。腎臓の限界を下回る範囲に収まっただけで、糖尿病の水準の血糖が残っていることはあります。治ったかどうかを判断する数字は、尿糖ではなくHbA1cと血糖です。

ご自身でできること——再検査の前に準備すること

尿糖の再検査は、受け方で結果の意味が変わります。再検査の前に、ご自宅で次のことを済ませておいてください。

  • 前夜の食事、前回トイレに行った時刻、採尿の時刻を控えておく——尿糖は前回の排尿から採尿までの血糖を映すため、この3つで読み方が変わる
  • 前日からビタミンCのサプリメントと栄養ドリンクを控える——偽の(−)を避けるため
  • 服用中の薬を書き出す——SGLT2阻害薬が含まれていれば、尿糖では判定できない

結果票の尿糖と血糖・HbA1cをまとめて確かめたい方は、健診結果インタプリタに数値を入れてみてください。再検査をどこで、いつまでに受けるかは健診で要再検査と言われたらにまとめています。

よくあるご質問

Q1. 健診の前日に甘いものを食べました。それで尿糖が出ることはありますか?

A. 血糖の調節が正常な方なら、前日の甘いものだけで翌朝の尿に糖が出ることは多くありません。甘いものを食べても、血糖が腎臓の処理能力を超える160〜180mg/dLまで上がることが少ないからです。逆に、食後の血糖が上がりやすい方では、前夜の食後に出た糖が早朝の尿に混じることがあり、その場合は出たこと自体が食後高血糖の手がかりになります。尿糖に影響しやすいのは、採尿の前に血糖が上がっていたかどうかです。朝食を食べてから採尿した場合や、糖分の多い飲み物を飲んだ直後の尿では、血糖値が一時的に腎臓の処理能力を超えて(±)や(+)が出ることがあります。再検査では、起床後にいったん排尿し、朝食をとらずにその後に出た尿で調べると、前夜と当日の食事の影響を切り分けやすくなります。

Q2. 腎性糖尿と言われました。将来、糖尿病になりますか?

A. 腎性糖尿そのものが糖尿病に変わるわけではありません。腎性糖尿は、血糖値は正常なのに、腎臓で糖を回収する力が生まれつき弱いなどの理由で尿に糖が出る状態で、多くは治療を必要としません。ただし、腎性糖尿の方でも年齢や体重の変化で別に糖尿病を発症することはあります。尿糖は毎年出るので目印になりません。健診では尿糖ではなく、空腹時血糖とHbA1cの推移を見てください。

Q3. SGLT2阻害薬を飲んでいます。尿糖が(3+)でしたが大丈夫ですか?

A. SGLT2阻害薬は、尿に糖を出すことで血糖を下げる薬です。服用中は尿糖が陽性になるのが薬の効き方そのもので、尿糖の強さは血糖の良し悪しを表しません。日本腎臓病薬物療法学会の患者向け資料でも、服用を中止してもしばらくは尿糖の陽性が続くとされています。健診の問診票に服薬中であることを書き、判定は血糖とHbA1cで受けてください。

Q4. 妊娠中の健診で尿糖が出ました。妊娠糖尿病ですか?

A. 尿糖だけでは決まりません。妊娠中は腎臓で糖を回収できる限界が下がり、腎臓でろ過される量も増えるため、血糖が正常でも尿糖が出ることがあります。一方で妊娠糖尿病でも尿糖は出ます。区別には血糖の検査が必要で、多くは妊婦健診のなかで血糖値やブドウ糖負荷試験で確認します。尿糖が出たことを担当の産科医に伝えてください。

Q5. 尿糖と尿たんぱくが両方出ています。何を疑いますか?

A. 血糖が高い状態が続いていて、腎臓にも負担が出始めている可能性を考えます。典型的な糖尿病性腎症は、尿にアルブミンというたんぱくが漏れることから始まります。ただし、アルブミン尿が増えないまま腎機能が下がっていくタイプもあります。一方で、尿細管の病気では糖とたんぱくが同時に出ることもあります。どちらにしても健診の数値だけでは区別できないため、血糖・HbA1c・eGFRを並べたうえで受診をおすすめします。腎臓の数値の読み方はeGFRの数値の意味にまとめています。

尿に糖が出たら、次は血液で確かめる番です

尿糖が(+)以上だった方、尿糖は(−)でもHbA1cや血糖に印がついた方、腎性糖尿と言われたまま血糖を確かめていない方は、一度ご相談ください。当院では、結果票の尿糖と血糖・HbA1c・腎機能を突き合わせ、必要な方にはその日に採血します。糖尿病かどうかは、検査結果がそろってから診断基準に沿って判断します。体重が関わっている場合は、食事・運動の設計から、GLP-1受容体作動薬(食欲と血糖を調える消化管ホルモンの薬)を含む薬物療法まで、保険・自費どちらの可能性も含めてご案内します。対面のほか、オンライン診療にも対応しています。GLP-1治療の全体像はGLP-1ダイエット完全ガイドをご覧ください。

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尿糖に印がついたら、血糖とHbA1cの結果も手元に置いてご相談ください。

当院では、保険診療で糖尿病・生活習慣病を診ています。担当医は小林 正敬(日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本内科学会 総合内科専門医)です。対面診療とオンライン診療に対応しています。

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この記事は「健診の数値の読み方」シリーズの1本です。健診結果の各項目を数値帯ごとに読み解く記事をシリーズ一覧にまとめています。気になる項目をその場で確かめたい方は健診結果インタプリタもお使いください。

参考文献

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この記事を書いた人

まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本糖尿病協会 糖尿病認定医/日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本内科学会 認定医制度審議会 病歴要約評価委員/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本抗加齢医学会 抗加齢専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター。医籍登録番号 第486214号。国立国際医療研究センター国府台病院で内科研修を始めた後、糖尿病内科の道に進み、現在は最新の薬物療法(GLP-1作動薬・チルゼパチド等)と、栄養・運動・漢方を組み合わせた包括的な糖尿病・代謝診療を実践しています。

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