喉が渇くのは糖尿病?ほかの病気との見分け方と受診の目安を糖尿病専門医が解説

急な症状でお困りの方へ ─ 胸痛・麻痺・激しい頭痛・呼吸困難など緊急性のある症状は 救急受診ガイド(119を呼ぶ目安) をご確認ください。

喉の渇きは、高血糖が進んだときに現れる症状の一つです。ただし、糖尿病以外の病気や脱水、薬の影響でも起こります。見分ける手がかりは、尿の量、体重の変化、いつから続いているかです。喉の渇きだけで決めず、必要に応じて血糖値を調べます。

目次

喉が渇くのは糖尿病のサインですか?

喉の渇きは、高血糖が進んだ場合に現れる典型的な症状です。多く飲む、尿が増える、体重が減るといった変化を伴うことがあります。一方、糖尿病の初期には症状がほとんどなく、血糖値が高くても自覚症状がない場合があります。渇きがないことを、血糖値が正常な根拠にはできません。

これらの症状のなかで、最も頻度が高いのは口渇である。血糖値がいくつ以上になるとこれらの症状が出現するのか、明確な閾値は示されていない。

出典:厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル 高血糖』

私は外来で「喉が渇く」と聞いたら、飲む量より先に尿の量と回数、体重の変化、いつから続くかを確認します。多尿と体重減少がそろえば、その日のうちに血糖値とHbA1cを測ります。

糖尿病でなぜ喉が渇くのですか?

糖尿病による喉の渇きは、高い血糖のために尿が増え、体の水分が失われることで起こります。血液中の糖が腎臓から尿へ出るとき、水も一緒に出ていきます。尿が増えて脱水が進むと、皮膚や口の粘膜が乾き、脈が速くなることもあります。尿糖については尿糖の意味の記事でも説明しています。

糖尿病の喉の渇きはどんな感じで、どのくらい飲みますか?

糖尿病の喉の渇きに、飲水量だけで判定できる決まった目安はありません。以前より明らかに飲む量が増えたか、夜中に飲むために起きるようになったか、甘い飲み物で渇きを癒しているかを、ご自身の普段の状態と比べてください。

喉の渇きの原因は、どこで見分けますか?

喉の渇きの原因を見分けるには、尿の量と、口や目の乾燥などの手がかりを組み合わせます。次の表は、まず相談する先を整理したものです。

原因 尿の量 ほかの手がかり まず相談する先
高血糖・糖尿病増えることがある多飲、夜間尿、体重減少内科・糖尿病内科
中枢性尿崩症(AVP分泌低下症)多い多量の飲水、夜間に何度も目が覚める内科・内分泌を扱う診療科
シェーグレン症候群尿量より口の乾燥に注目唾液が出ない、食事に水が要る、目も乾く内科で口と目の乾燥を相談
薬の影響薬と原因によって異なる服用中に口の乾燥や高血糖の症状が出た処方した医師・薬剤師
脱水・熱中症・発熱尿量だけで判断しない暑さ、水分不足、発熱内科。意識の変化があれば救急
加齢による感覚の低下尿量だけで判断しない水分不足でも渇きを感じにくい暑さや水分不足で体調が悪ければ内科。意識がぼんやりすれば救急

糖尿病じゃないのに喉が渇くのはなぜですか?

糖尿病以外の喉の渇きには、尿崩症による多尿、口の乾燥、薬の影響、脱水などがあります。中枢性尿崩症では、尿量を少なくするホルモンが不足し、大量の尿と強い渇きが生じます。シェーグレン症候群では唾液腺や涙腺が障害され、口や目の乾燥が手がかりになります。薬の影響を考えるときは、服用中の薬を処方医に伝えてください。

いくら飲んでも喉が渇くのは病気ですか?

飲んでも渇きが続き、尿も大量に出る場合は、高血糖や中枢性尿崩症を調べる必要があります。中枢性尿崩症では、多い場合に1日10 Lの水分を飲み、10 Lの尿を出すことがあります。これは一般的な飲水量の目安ではありません。尿の量が極端に多い場合は、内分泌の評価につなげます。

夜中に喉が渇いて目が覚めるのはなぜですか?

夜中の喉の渇きは、夜間尿を伴う高血糖、尿崩症、口の乾燥などで起こります。高血糖では夜間尿が徴候になることがあります。中枢性尿崩症では尿意で何度も目が覚め、シェーグレン症候群では飲水のために起きることがあります。飲むために起きたのか、尿意で起きたのかも記録してください。

口が渇くのと喉が渇くのは違いますか?

口の乾燥は唾液が出にくい状態で、喉の渇きは多尿や脱水による水分不足でも起こります。唾液が出ない、食事のたびに水が要る、会話が続かないという訴えは、口の乾燥を考える手がかりです。目の乾燥を伴うかも確認します。

私は外来でこれらがそろえば、口の乾燥を起こす病気や薬を考え、服用中の薬をすべて確認します。尿が多ければ高血糖や中枢性尿崩症を考え、尿の量が普段どおりなら口の乾燥や薬の影響を先に調べます。

薬で喉が渇くことはありますか?

薬による喉の渇きには、口の乾燥によるものと、薬の影響で高血糖になった場合のものがあります。高血糖を起こしうる薬剤・輸液には、副腎皮質ステロイド薬、高カロリー輸液、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、向精神薬があります。使用中に口渇、多飲、多尿、体重減少が急に出たり続いたりしたら、医師や薬剤師に連絡してください。

高齢者は喉が渇かなくても水分不足になりますか?

高齢者は暑さや水分不足を感じる機能が低下し、喉の渇きに気づきにくくなります。熱中症患者のおよそ半数は65歳以上です。室内でも屋外でも、渇きを感じなくてもこまめに水分を補給してください。

どんな喉の渇きなら、すぐに受診すべきですか?

喉の渇きや多尿に吐き気、嘔吐、腹痛、意識がぼんやりする状態が加われば、救急受診が必要です。高度な高血糖に伴うケトアシドーシスの可能性があります。

私は外来でこうした症状を確認した場合、通常の外来での検査を待たず、救急での評価につなげます。受診の判断は救急受診ガイドも参照してください。

喉が渇くときは何科に行き、何を調べますか?

喉の渇きが続くときの相談先は、まず内科または糖尿病内科です。血糖値、HbA1c、尿を調べ、尿の量や体重の変化と合わせて判断します。空腹時血糖126 mg/dL以上、随時血糖200 mg/dL以上などは糖尿病型です。糖尿病型の血糖値と典型的な症状がそろえば、1回の検査で診断できる場合があります。

空腹時血糖値が正常でも、食後だけ大きく上がる場合があります。検査値の読み方は空腹時血糖と食後血糖の記事、HbA1cの意味の記事を参考にしてください。唾液と目の乾燥が目立つ場合はシェーグレン症候群を、尿が極端に多い場合は内分泌の病気を評価します。

喉の渇きで見落としやすい落とし穴は何ですか?

喉の渇きで見落としやすい落とし穴は、今の状態を確かめる前に原因を決めつけることです。

甘い飲み物で渇きを癒し続ける。清涼飲料水の多飲は、高血糖のリスク因子の一つです。渇くたびに甘い飲み物を選んでいないか、私は外来で確認します。飲んでいる方には、まず水かお茶に替えるよう伝えます。

「渇かないから大丈夫」と考える。高血糖でも症状がない場合があります。血糖値が350〜400 mg/dLを超えないと症状が出ないこともあります。自覚症状だけで判断せず、健診の数値を確認してください。

以前の健診結果だけで、今の症状を片づける。健診の数値と、今の喉の渇きは別の時点の情報です。新たに多尿や体重減少が出たなら、現在の血糖値を調べます。健診で再検査を勧められた場合は、健診で要再検査になったときの記事も参照してください。

ご自身でできることは何ですか?

ご自身でできることは、飲水と排尿の変化を記録し、健診結果を手元に用意することです。数日間、飲んだ量、トイレの回数、夜中に起きた回数、体重を記録してください。甘い飲み物を飲んでいる場合は水かお茶に替えます。健診結果票があれば、空腹時血糖値、HbA1c、尿糖の欄を確認してください。

よくあるご質問

Q1. 喉が渇くだけで糖尿病と診断されますか?

A. 喉の渇きだけでは診断されません。血糖値を調べ、尿の増加や体重減少なども確認します。血糖値が糖尿病型で、典型的な症状がある場合は、1回の検査で診断できることがあります。

Q2. 20代でも喉の渇きで糖尿病を疑うべきですか?

A. 年齢だけで判断せず、尿の増加や体重の変化を確かめてください。やせていても糖尿病になりやすい人がいます。喉の渇きが続く場合は、血糖値を調べてください。

Q3. 喉の渇きのほかに、糖尿病で出やすい症状はありますか?

A. 糖尿病では、喉の渇きのほかに倦怠感、集中力の欠如、多飲がみられます。尿が増える、夜間に尿が出る、体重が減るといった徴候もあります。

Q4. 喉が渇くとき、スポーツドリンクで水分補給してもいいですか?

A. 普段の渇きを癒すために砂糖入りのスポーツドリンクを習慣的に飲むことは避け、水かお茶を選んでください。暑さや大量の汗、発熱で脱水が心配なときはこまめに水分を補給し、体調が悪いときや尿の増加・体重減少があるときは受診してください。

Q5. 麦門冬湯などの漢方薬は口の渇きに使われますか?

A. シェーグレン症候群による口の乾燥には、麦門冬湯などの漢方薬も用いられます。口の乾燥と喉の渇きは症状として区別して確認し、唾液や目の乾燥、尿の量を確かめてから相談してください。

喉の渇きが続くときは、どこに相談できますか?

尿の量や体重の変化、健診結果を持ってご相談ください。血糖値を確認し、口の乾燥や薬の影響も含めて原因を考えます。保険・自費どちらの可能性も含めてご相談ください。

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参考文献

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この記事を書いた人

まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事 / 院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医/日本糖尿病協会 糖尿病認定医/日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医/日本内科学会 認定医制度審議会 病歴要約評価委員/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本抗加齢医学会 抗加齢専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター。医籍登録番号 第486214号。国立国際医療研究センター国府台病院で内科研修を始めた後、糖尿病内科の道に進み、現在は最新の薬物療法(GLP-1作動薬・チルゼパチド等)と、栄養・運動・漢方を組み合わせた包括的な糖尿病・代謝診療を実践しています。

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